2003/12/14 (Sun)
何年か前、知り合いが「読んだけど今一話が暗いので要らない」と言って捨てるところだったシリーズの一冊目と二冊目。電車の長旅のお供にとちゃっかり頂いて帰って、気がつけば読みふけるままに目的地にたどり着いていた。 確かに犯罪小説と言うだけあって、重苦しい雰囲気は否めないし、リッチモンドという舞台も、けして雰囲気の良い街ではないし。加えて女性ながらこの仕事の第一線で活躍している主人公ケイも、けして陽気なタイプではない。暗いというのは確かだったが、それ以上に面白かった。キャラクターがそれぞれ魅力的で、おこる犯罪も興味深く、それ故に続きのシリーズは自分で買い漁り、新刊が出れば飛びついて買うようになっている。 きめ細かな捜査を経て浮かび上がる犯人の姿。昨今はFBIのプロファイリングが重要視される中、一般人には想像も付かない科学の目が犯人像に裏付けをしていく様子が、この小説は丁寧に解説付きで描かれている。そうした科学の目(或いはそれはとても古典的でアナログな方法だったりもするが、それも捜査の伝統を思わせる)と、主人公ケイのとても感情豊かな人間性を踏まえた視点が重なるところが、私は面白いと思う。 この主人公が作る料理も実は小説に惚れ込んでいる要因で、陰惨な犯罪の合間に挿入される、これまた丁寧な調理シーンがとても美味しそうで良い。思わずケイに「それを私にも作って!」と言いたくなってしまうのだ。ケイはイタリア系で、作る料理もイタリア料理。本当にどれもこれも美味しそう。犯罪小説は苦手だけど…という方には、是非「パトリシア・コーンウェルの食卓」という一冊をお薦めしたい。これはなんと、物語中に出てきた料理の写真つきレシピ集なのだ。もちろん随所に小説とリンクしたエッセイや解説がちりばめられているから、小説を読んでいれば、おもしろさは倍。あの時の料理は、こんな風にして作っていたのか…と妙に納得してしまうから。
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